読者の皆さんは、「コライト」という言葉をご存知でしょうか?
「Co-Write」要は共作のことです。
「自作自演」がもてはやされる日本ではあまり馴染みのなかったやり方ですが、実は現代の海外のヒットチャートに載っている曲は、なんとほぼコライトで作られているのです。
海外でのコライトの制作の一例を挙げると、
トラックメイカー(オケを作るのが得意な人)が基になるトラックを制作
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トップライナー(メロを作るのが得意な人)がメロディーをのせる
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演奏家が楽器を入れる
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仮歌シンガーさんが仮の詞を考えて歌う
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エンジニアさんが提出用に音を整える
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クライアントに提出
このような分業による流れ作業で淡々と作業が進んでいきます。
コライトのメリットは、高いクオリティを保ちつつスピーディーに楽曲を作れる点でしょう。
特にJ-Popのコンペのような、デモを作ってプレゼンするようなシーンには適しています。
筆者自身、コライトという言葉はかなり前から知っていましたが、今まで全く興味がありませんでした。
「全て一から私が作った曲です!」と言い張れないのが、なんだか気に入らなくて敬遠していたのです。…古い考えですね。笑
そんな私ですが、最近、インターネット上で活動しているシンガーさんとコライトをする機会がありました。
とは言っても、先に挙げた海外の例のような細かい分業制ではなく、下記のように楽曲データをキャッチボールするようにブラッシュアップさせていく、と言った方法で行いました。
シンガーさんが曲のイメージを提案する
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筆者がトラックメイカーとして基になる1コーラスのトラックを制作
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シンガーさんがトップライナーとして仮のメロと詞を制作
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筆者がイメージするキーワードや世界観を考慮しながらフル尺のトラックを制作
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シンガーさんがフル尺のメロと詞を制作
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筆者がメロと歌詞に合わせた細部の編曲を行う
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完パケ
(※完成!)
一見キャッチボールが面倒にも思えますが、双方がアイデアを刺激し合い、意外にも効率的に制作が進みました。
結果的に私一人では出てこないアイデアが盛り込まれた、面白い楽曲が出来上がったのです。
もちろん複数人が協力して作る以上、自分が意図しない方向に楽曲が進んでいくこともあるでしょう。ですが「アイデアの化学反応」を楽しむことができれば、自分の作家としての新たな可能性を見つけられるのではないか…そんな気がしました。